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「星からの落し物って知ってる?」 

 

 少年の言葉に、共に夜空を見上げていたもう一人の少年と少女は顔を見合わせて首を横に振る。 

 

「なにそれ? おとぎ話?」 

 

 爛々と輝く瞳で少女は少年に問う。少女の隣に座るもう一人の少年も、瞬きをしながら言葉を待っている。 

 

「それはね、ずっとずーっと昔に落ちてきた、不思議な力が込められたキラキラ光る綺麗な星のかけらなんだ」 

 

 穏やかな星空。子供たちはいつまでも理想を語り夢を見る。星空だけが、ただ、優しく見守っていた。 

 

 

 *** 

 

 

 空から落ちてきた星の落し物。 

 

 それはとても大きな石。その中から少女が一人、見つかった。 

 貧困が蔓延り小競り合いが起き、血を流すのが当たり前の世界。その世界に終止符を打ち、豊かにするために神が思し召した神の使いと誰かが謳う。 

 

 後に少女は神の使いと称えられ、この世界を繁栄へと導く"魔法"を広めた始祖となる。 

 

 それが今まで歴史に刻まれていた記憶。 

数年前、それを覆すような手記が一つ見つかった。 

 

『神の使いと聖女と呼ばれた二人の話をこの一冊に記す。  ――ネイミ・クラウン』 

 

 

 遙か昔に起こった世界中を巻き込む戦争。その戦争の裏側に何があったのか。 

 

 書かれている内容は嘘か誠か。 

 一つの手記が、世界に一つ大きな波紋を広げた。